この記事の対象者
- 今年、花粉症に悩まされていた人
医学的エビデンスに基づく、最適な治療方法(※詳細はパーソナルドクターにご相談ください)
- 薬剤の活用
- レーザー焼却(10分程度の手術)
- 舌下免疫療法(通院3~4年での薬剤投与)
記事の読了時間目安:5分
目次(クリックするとその項目に飛びます)
時期ごとの花粉症の原因
いつの時期に症状が出るかで原因となる花粉の予測を立てることができます。以下の表がその一覧です。罹患率の高いスギ、ヒノキの花粉は3〜4月に最も多く飛んでいます。
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花粉症の原因割合
スギ花粉が約7割と群を抜いて高くなっています。続いてヒノキ、ブタクサが多いです。
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病院受診の必要性
生活に支障が出るほど症状が重い場合や、市販薬を使ってもなかなか症状が改善しない場合はできるだけ早く病院受診することが重要です。些細な症状でも、まずはパーソナルドクターに相談するようにしましょう。
病院でアレルギー検査を受け、自分の花粉症の原因を知ることで、その後の花粉症対策を効果的に行うことができます。また、病院では症状に合った薬をもらうことができるため、市販薬を買って治療するよりも高い効果が得られることがあります。*5
一言に花粉症と言っても、スギ、ヒノキ、ブタクサなど人によって原因が異なります。採血検査を行う事で、どの物質が原因となっているのか、重症度はどの程度なのかを調べる事ができます。治療法を決めるためにも、まずはアレルギー検査を受けてみる事がおすすめです。また、花粉症の方はアレルギー性鼻炎にも罹患しやすいため、その原因物質となるダニやホコリに対してのアレルギー反応も同時に調べる事もできます。*3
薬剤の活用
アレグラ、タリオン、ビラノア、ザイザルといった第二世代抗ヒスタミン薬は副作用や効果の持続の面で優れています。抗ヒスタミン薬で全般的な症状を抑え、鼻づまりが強い方にはロイコトリエン受容体拮抗薬、眼症状が強い方には点眼薬処方する事で花粉が多い年でも約5~6割の患者 さんが大きな副作用もなく、花粉症の症状がほとんど出現せずに、高い QOLを保ったままで花粉飛散の季節を過ごせることが分かっています。薬を飲み始めるタイミングは、飛散予想時期の1〜2週間前が良いと言われています。*1
次から薬でもコントロールできない重症の方や、薬を飲むことが面倒な方向けに治療法を紹介します。
下に述べるそれぞれの治療法に関して、簡潔にポイントをまとめた表が下の表です。
レーザー焼却 | 舌下免疫療法 | |
費用 | 9000円程 | 10〜18万円程 |
治療期間 | 30分程度 | 3〜4年 |
効果 | 1〜2年 | 7〜8年 |
メリット | 日帰りでできる、鼻症状に対して80%の方に効果的 | 効果持続期間が長い |
デメリット | 術後一ヶ月以内の鼻の違和感、効果持続期間が短い | 高額、治療期間が長い |
総合評価 | 8/10 | 7/10 |
レーザー焼却について
- レーザー焼却とは?
アレルギー性鼻炎・花粉症の症状を引き起こす最大の場である下甲介粘膜や神経をレーザーで焼く施術の事です。
- 概要
- デメリット
- メリット
費用は左右両方で29,000円ですが、健康保険が適応されるため、3割負担の方では8,730円になります。治療効果は約1〜2年持続し、半年くらいから少しずつ効果が落ち始めます。また、花粉の飛散時期には治療できない事から、スギ花粉症の方は、10月〜12月に治療を受ける事を推奨します。この治療法は約75%の方に有効と言われていますが、治療効果が持続する期間も含めて、レーザー治療の有効性は個人差が大きいです。治療時間は約30分ほどで、レーザー自体にあまり痛みはありませんが、鼻を開く必要があり、それに痛みを感じる方がいらっしゃいます。
粘膜は再生するので、レーザー治療行っても数年後には再発するといったデメリットがあります。またレーザー手術後約1週間程度は鼻の中が腫れて、鼻づまりや鼻水といった症状が見られることがあります。術後2週間から1ヶ月は、鼻の中にかさぶたが付き、乾いた感じや違和感を感じる方もいらっしゃいます。
鼻の症状への効果が75%程度と高く、日帰りで治療を受けられます。*2
舌下免疫療法について
- アレルギー免疫療法とは?
- 概要
- メリット
- デメリット
100年以上も前から行われている治療法で、アレルギーの原因である「アレルゲン」を少量から投与することで、体をアレルゲンに慣らし、アレルギー症状を和らげる治療法です。根治が可能な唯一の治療法です。
スギ花粉症の方を対象に、3〜4年の治療により、7〜8年の効果があると言われています。費用としては、通院+薬代で一ヶ月に3000円程度×3〜5年分として、10万〜18万円。稀ではあるものの、呼吸困難や蕁麻疹、意識障害などのアナフィラキシーショック(強いアレルギー反応)を引き起こす可能性があります。
長期にわたり症状をおさえる効果が期待できます。完全におさえられない場合でも、症状を和らげることが可能です。
治療期間が長いこと、花粉飛散期からは治療が開始できないこと、即効性は期待できないこと、口腔内のかゆみやのどの違和感などの副作用を生じる可能性があること、アナフィラキシーが発現する可能性があることなどが挙げられます。*4
参考文献
*1. 厚生労働省「的確な花粉症の治療のために」p12〜15
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000077514.pdf
*2. メディカルノート「花粉症のレーザー治療による効果や継続期間、治療にかかる費用とは」
https://medicalnote.jp/contents/200325-002-CX
*3. 厚生労働省「花粉症Q &A」Q 12.16.24
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/kenkou/ryumachi/kafun/ippan-qa.html
*4. 日本アレルギー学会 「スギ花粉症における アレルゲン免疫療法の手引き(改訂版)」p1.2.9〜11
https://www.jsaweb.jp/uploads/files/sugi_tebiki16_honmon.pdf
*5. メディカルノート「花粉症を病院で治療する理由〜正しい治療方針や受診の目安〜」
https://medicalnote.jp/contents/200124-003-DF
*6. アレルギー情報サイト「花粉症の原因となる花粉」
https://www.allergy-i.jp/kafun/kafun-know/kafun-genin.html
*7. at home 「日本人の花粉症の人は約4割?病院での検査率は男女で違いが」
https://www.google.co.jp/amp/s/www.athome.co.jp/vox/life/69409/amp/