会食に行っても健康に過ごす方法

  • こんな人に読んでもらいたい
    • 会食が多い経営者の方。
    • 会食が多く、健康に不安を感じている方。
  • この記事を読んでわかること
    • 蒸留酒、全粒穀物摂取、16時間断食が効果的であり、推奨される。
  • 読了目安時間
    • 5分
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会食はお仕事を進める上で大切!けれど、お酒や塩分、糖質のとりすぎは、肥満・メタボリックシンドローム・生活習慣病・がんなど健康リスクの増大につながることも。今回は会食中とその前後にできる対策をお伝えします。

目次

【会食中の対策】

お酒は蒸留酒がおすすめです。

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ウイスキー・ウォッカ・ジン・焼酎など蒸留酒を1日2杯まで(1日20g以下の純アルコール量、ビールであれば1日中瓶500mlを1本程度)がおすすめです。

お酒は体に悪いかも。でも、お酒は会食につきもの。そんな悩みを持っている方も多いのではないでしょうか。確かに過度な飲酒は肥満・がん・虫歯などの危険因子です。

しかし、飲み過ぎや糖質に気をつければ、アルコールとうまく付き合えます。

例えば、お酒の種類は、糖質が低いウイスキー・ウォッカ・ジン・焼酎など蒸留酒がおすすめです。また、1日の純アルコール摂取量を20g以下に抑えましょう。蒸留酒であれば、1日2杯まで。ビールであれば1日中瓶500ml程度(生ビール中ジョッキ、約2杯分)が良いでしょう。これは、肥満対策のほか、がん予防にも有効です。蒸留酒はpH値も比較的高いため虫歯対策にもなります。梅酒・缶チューハイ・日本酒・ビールなど糖質高めで、酸性のお酒は虫歯のハイリスクです。蒸留酒を割る場合は、水やお湯・お茶もしくは炭酸など無糖の割りものを選びましょう。

②スープやソースを必要以上に摂らないようにしましょう。

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スープやソースは塩分が多く、高血圧の原因になります。

日本人の死亡原因として最も多い食生活は「塩分過多」って知っていましたか?

塩分を多く摂取すると、高血圧になります。高血圧は心筋梗塞や脳梗塞の主な原因です。ウスターソースには大さじいっぱいあたり1.4gの塩分、スープ一杯あたりでは1.5gの塩分が含まれていると言われています。1日食塩6g以下を目指し、スープやソースの摂取を控えましょう。

③おつまみには、枝豆・冷奴・ナッツ・海藻サラダ・キムチがおすすめです。

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会食では、食物繊維豊富な野菜類→高タンパクな肉・魚→炭水化物の順に食べましょう。

おつまみの中では、特に海藻サラダがおすすめです。特に、海藻は腸の健康を促進することで知られる、繊維質がとても豊富です。海藻を毎日食べる人では、食べない人に比べ、虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)の発症率が56~75%低下したという報告があります。また、海藻に含まれる化学物質は血糖値を下げるのを助け、糖尿病リスク低下につながる可能性があります。

④お肉よりお魚を選びましょう。

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1日50g以上の赤身肉の摂取には発癌性が認められています。

赤肉・加工肉の摂取には国際的に、発癌性が認定されています。

赤肉とは、牛肉、豚肉、羊肉などを指します。魚肉や鶏肉は含みません。

1日あたり50gの摂取は大腸癌のリスクを高めるとの報告があります。また、1日100gの赤肉の摂取は、糖尿病のリスクを約1.2倍上昇させました。循環器系疾患のリスクを高めるとの指摘もあるため、会食の際は、なるべくお魚を食べるのがおすすめです。

  • ①-①の詳細や医学的根拠を知りたい方はこちら(数字をクリックすると、参考文献にとべます)
  • 1) お酒の種類によっては、アルコールの他に糖質が含まれています。お酒由来の糖質は肥満につながる可能性があります(ビール中ジョッキ1杯:170kcal、ワイン小グラス1杯:約100kcal、日本酒1合:185kcal)。

    2) 過度な飲酒はがんの危険因子です。1日50g以上の過度な飲酒は、がんのリスクを増大します(口腔・咽頭癌:5.13倍、食道癌:4.19倍、直腸癌:1.44倍、乳がん:1.61倍、胃がん:1.21倍、肝臓がん:2.64倍、胆嚢癌:1.19倍、肺がん:1.15倍)。 

    3) 肥満・がんのリスクはアルコール摂取量に対して、増加します。(1日純アルコールを20-60g摂取している人では、20g以下の純アルコール摂取者に比べ、がんの発症率が2倍以上になります。)

    4) 梅酒・缶チューハイ・日本酒・ビールなど糖質高めで、酸性のお酒は虫歯のハイリスクです。これは、口内のpHが5.5以下の酸性環境になると歯の表面に存在するエネメル質が溶けやすくなるためです

【会食前後の対策】

①白い炭水化物の代わりに、茶色い炭水化物を1日70g摂取しましょう。

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全粒穀物(e.g)玄米、全粒粉パン)など精製されていない炭水化物(茶色い炭水化物)の摂取は、体重増加予防につながるほか、心筋梗塞などの心血管疾患、2型糖尿病予防にも有効です。 

実は会食中に気をつける以外にも、健康改善のためにできることがあるんです!

例えば、茶色い炭水化物を食べることは会食全体のリスク低下につながります。

レンジでチンできる寝かせ玄米や全粒粉パンは会食外でも、手軽に摂取可能です。茶色い炭水化物の摂取では、下記のように様々な健康予防の効果が報告されています。

  • 体重増加予防:全粒穀物の摂取量増加により長期的な体重増加の予防が認められています。
  • 総死亡率の低下:1日70gの全粒穀物を摂取した人では摂取していない人と比べ総死亡率が22%減少しました。
  • 心血管疾患・脳卒中のリスク低下:全粒穀物を多く摂取したグループ(≧26g/d)は、摂取量が少なかったグループ(>21g/w)と比べ、心筋梗塞など心血管疾患や、脳梗塞や脳出血などの脳卒中のリスクが21%低下しました。
  • 2型糖尿病リスク低下:全粒穀物の摂取量を1日あたり60g増やすと、2型糖尿病のリスクが21%減少しました。

逆に、白米など白い炭水化物の摂取は体重増加含むヘルスリスク増加につながります。白米や麺類など白い炭水化物の摂取はなるべく控えましょう。会食が多い方こそ、全粒穀物を食べ、会食のヘルスリスク増加を少しでも予防しましょう!

16時間断食を試してみましょう!

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16時間断食は2型糖尿病・心疾患の予防、血糖値・血圧の低下、体のパフォーマスや記憶力の向上に効果的な可能性があります。また、会食後の代謝が改善される可能性があります。

ダイエットってなんとなく食事制限や運動をしなくてはいけないと思っていませんか?

実は、会食に行きながらでも、健康状態の改善を目指せる食事法があるんです!

16時間断食は、1日の食事時間を8時間以内に設定し、残り16時間連続で食事を取らない時間を作るダイエット法です。食事時間は、個々のスケジュールに合わせて設定いただけます(例えば、14時〜22時)。16時間断食では、脂肪量の減少などのダイエット効果が報告されています。体重が減少しない場合でも、インスリンの働きの改善、血圧の降下の他、動脈硬化の原因になる過剰な活性酸素の減少が報告されています。会食が多い方でも、食事時間を8時間に限定するだけで健康状態改善に期待できます!肥満・糖尿病、心血管疾患・がん・認知症やパーキンソン病など様々な疾患の予防ができる可能性があります。食事内容に特に制限はありません。主な研究の詳細や医学的根拠は下記にまとめてありますので、詳細が知りたい方はチェックしてみてください。

ただ、16時間断食にあたって、注意しなければいけない場合があります!

16時間断食は健康予防に有益であるとする報告が多いですが、女性にとって長時間断食はホルモンバランス上あまり良くないとする説もあります。12時間断食から始め、体調に変化がなければ16時間断食を試みるのが良いかもしれません。また、授乳中の女性や1型糖尿病の方、精神病などの既往がある方にはあまり推奨されていません。16時間断食にご興味ある方は、ぜひ一度パーソナルドクターにご相談ください。

  • ②−②の詳細や医学的根拠を知りたい方はこちら(数字をクリックすると、参考文献にとべます)

1)週3−5日トレーニングをしている男性のうち、8週間16時間断食を行なった群では脂肪量が平均で16.4%減少した一方で、断食を行わなかった群では平均2.8%の減少がみられました。筋肉量は減少しませんでした。 

2)18時間断食を行った糖尿病予備軍の男性で、糖の吸収を担うインスリンの働きが改善しました。また、血圧が低下、動脈硬化の原因にもなる過剰な活性酸素の産生も減少しました。体重が減少しなかった人でも上記の改善が見られました。間欠的断食は、心臓代謝の健康改善・2型糖尿病・心疾患の予防に有効である可能性があります。 

3)動物モデルや患者を対象にした臨床研究で、間欠的断食は、身体的パフォーマンスや病気の抵抗力の向上の他、肥満・糖尿病・心血管疾患・癌・認知症やパーキンソン病など多くの健康状態に対する効果が報告されています。

4)間欠的断食を行った群(BMI>25)では、1週間で平均約0.2-0.8kgの減量が報告されました。

「コラム:大人数で過ごす人と一人で過ごす人の寿命:大人数でお酒を飲むのは良い!? 」

 大人数でお酒を飲むことは、健康リスクを増加させるように見えているかもしれません。確かに日本では、宴会効果と呼ばれるほどメタボリックシンドロームの率が高い現状にあります。一方で、社会的つながりが多い方ほど寿命が高い傾向にあるとの報告もあります。世界各国の研究でも、社会的な支えが多い人は、支えが少ない人に比べて、脳卒中の死亡リスクや心筋梗塞の発症・死亡のリスクが少ないことも報告されています。会食で人との繋がりを大切にしつつも、ウェルネスを達成できるよう、日頃から上記3点含め、健康につながる習慣を意識・実践していきましょう。

 身体のことで、なにかおかしいなと思われることがあれば、すぐにパーソナルドクターにご相談ください。ウェルネスはこれからも、防ぎ得た後悔をなくすためお客様と一丸となり、生涯ウェルネスの達成を目指していきます。

参考文献

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  2. ”lower consumption will decrease the burden of cancer caused by alcohol ” https://www.thelancet.com/infographics-do/alcohol-cancer 
  3. “the level of alcohol can be consumed without increasing health risks rises throughout life times” https://www.thelancet.com/pb-assets/Lancet/infographics/health-risks-alcohol/health-risks-of-alcohol.png 
  4. 厚生労働省、”アルコール” https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b5.html
  5. 日本経済新聞、“酸蝕歯” https://www.nikkei.com/nstyle-article/DGXKZO19880330Q7A810C1W10601/
  6. “Changes in whole-grain, bran, and cereal fiber consumption in relation to 8-y weight gain among men” https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15531671/
  7. Whole Grain Intake and Mortality From All Causes, Cardiovascular Disease, and Cancer: A Meta-Analysis of Prospective Cohort Studies” https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27297341/ (メタ解析)
  8. “Whole grain intake and cardiovascular disease: a meta-analysis” https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17449231/
  9. Whole grain, bran, and germ intake and risk of type 2 diabetes: a prospective cohort study and systematic review
  10. V Bangnardi, “Alcohol consumption and site-specific cancer risk: a comprehensive dose-response meta-analysis” https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25422909/
  11. Tatiana Moro et al(2016) “Effects of eight weeks of time-restricted feeding (16/8) on basal metabolism, maximal strength, body composition, inflammation, and cardiovascular risk factors in resistance-trained males” https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27737674/
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  17. Hannah D. Holscher, “Dietary fiber and prebiotic and the gastrointestinal microbiota” https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5390821/