野菜ジュースは、なんとなく健康に良いと思っていませんか?今回は野菜ジュースは健康に良いのかどうか、解説いたします。
この記事の対象者:
野菜ジュース・フルーツジュースをよく飲んでいる人
記事の読了時間目安:5分
今回の記事では、
①野菜ジュースは生の野菜の代替品にはならない
②フルーツジュースは健康に悪影響
③スムージーは自作するのが良い
④野菜ジュースの代替案
についてご紹介します。
野菜ジュースは、なんとなく健康に良いと思っていませんか?
しかし、野菜ジュースは生野菜の代わりにはなりません。
一部の野菜ジュースには、砂糖が追加されていたり、果汁が使用されたりしています。糖類がスティックシュガー6本分に相当するものもあります。*1 そのため、糖質の摂取量が増え、飲み過ぎると肥満の原因にもなります。また、液体状のため吸収が早く、血糖値が急激に上昇する恐れがあります。血糖値の急激な乱高下は血管にダメージを与え、脳卒中や心筋梗塞などの疾患リスクが上がります。*2
また、野菜ジュースには全ての栄養素が含まれているわけではありません。 特に食物繊維は生野菜を摂取する場合と比べて1/5程度以下になります。*3食物繊維は小腸で消化・吸収されずに大腸まで達し、便秘予防といった整腸効果、脂質・糖・ナトリウムなどの体外排出を促進し、血糖値上昇抑制に貢献します。欧米の研究では、1日に24g以上の食物繊維を摂取することで、心筋梗塞や脳卒中、2型糖尿病、乳がん、胃がん、大腸がんのリスクが低下することが報告されています。一方で、日本人の平均的な食物繊維摂取量は約14gと言われており、不足しがちな食物繊維を補うためには、食事からの摂取が重要です。*4また、多くの野菜ジュースには酸味料や香料、pH調整剤などの添加剤が含まれていることに注意が必要です。
ただし、野菜ジュースは一部の栄養素を摂取するには効果的です。トマトのリコピンの吸収率は3.8倍、にんじんのβカロテンの吸収率は1.5倍に高まるそうです。*5 バランスの取れた食事・生の野菜摂取を主体とした上で、栄養の補完として1日1本以下の野菜ジュース摂取におさめるのが良いでしょう。
野菜ジュースを摂取する際には、以下の点に注意して選ぶことをお勧めします。まず、砂糖や果汁が不使用のものを選びましょう。塩分の含有量も低めのものを選ぶことが望ましいです。また、酸味料や香料、pH調整剤などの添加剤が少ないものを選ぶことも大切です。
「果汁100% フルーツジュース」と聞くと、何となく健康な気がしませんか?
しかし、医学的にこれは間違いと考えられています。
2014年に発表された論文(メタアナリシスという、エビデンスレベルの高い研究)では、フルーツジュースの摂取は例え果汁100%であっても、2型糖尿病のリスクを高めると報告されています。*6また、果汁100%フルーツジュースは心筋梗塞などの心血管疾患にも悪影響との報告があります。*7
しかし、果物自体が不健康というわけではありません。
2013年ハーバード大学の研究によると、週3杯のフルーツジュースの代わりに果物を摂取した人において、糖尿病のリスクが7%減少しました。*8また、2016年に発表された論文において、新鮮な果物を毎日生で食べる人はそうでない人と比べ日頃の血圧・血糖が低く、心血管疾患(心筋梗塞など)による死亡率を40%減少させることも示されています。*9特にブルーベリー、ぶどう、りんご、バナナ、グレープフルーツは糖尿病のリスク低下に有効です。*10
なぜ果物は良いのに、フルーツジュースはダメなのでしょうか。
これについては理由がはっきりわかっていないのが現状です。一つ推測として、生のフルーツでは食物繊維が豊富に含まれ咀嚼回数が多くなり、血糖値の急激な上昇が防げる可能性などが考えられています。フルーツジュースではなく、生の果物を積極的に食べるようにしましょう。
新鮮な果物を食べると糖尿病の予防になる一方で、フルーツジュースは糖尿病のリスクを高めます。では、スムージーは健康的なのでしょうか。
これについては、まだ因果関係がはっきりとわかっていません。基本的に、砂糖、シロップなど加えない自作のものであれば健康的とされています。市販のスムージーは、添加物や追加の糖分を加えているものが多いので、避けた方が良いと考えられます。*11
もちろんスムージーだけを摂取するのではなく、不足しがちなタンパク質や、良質な脂質をしっかりと摂取することがとても重要です。
野菜ジュースの代替案として、パックサラダ・カットフルーツ・ナッツがおすすめです。
コンビニなら、野菜はパックサラダ、果物はカットフルーツが良いでしょう。整腸などを目的に摂取するのであれば、食物繊維サプリ&プロバイオティクスサプリも良いでしょう。サプリの選び方についてはパーソナルドクターにご相談ください。
また、他の代替案として、無塩ナッツを1日25g程度摂取するのがおすすめです。ナッツは健康に良いとされる不飽和脂肪酸を多く含みます。また、ナッツによる血中脂質の改善や、心血管疾患・がんの発症率低下(特に大腸癌,肺癌,膵臓癌)が期待できます。ナッツを沢山食べると心血管系疾患の発症率が15%低下します。*13
参考文献
- kounandai-clinic.net/20161124.html
- https://www.saiseikai.or.jp/medical/column/blood_sugar_spike/
- https://www.kagome.co.jp/products/drink/A5933/、https://www.seikatsu.city.nagoya.jp/files/anzen/file/yasai.pdf
- https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-001.html
- Gartner (Am.J.Clin.Nutr..1997)]、β‐カロテン[Livny (Eur.J.Nutr..2003)
- Intake of fruit juice and incidence of type 2 diabetes: A systematic review and meta-analysis, PLOS Mar 28, 2014.
- https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2733417
- https://www.hsph.harvard.edu/news/press-releases/eating-whole-fruits-linked-to-lower-risk-of-type-2-diabetes/
- Fresh fruit consumption and major cardiovascular disease in china, NEJM April, 2016.
- fruit consumption and risk of type 2 diabetes: results from three prospective longitudinal cohort studies, BMJ Aug 29, 2013.
- https://www.theguardian.com/society/2013/sep/07/smoothies-fruit-juices-new-health-risk
- https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/phytochemical.html
- https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31361320/